ウェスタディアの双星

 宇宙戦記モノの第二巻。
 戦記小説は内容に触れるとネタバレになってしまうので、あまり詳しく書けないのですが、数が多くても時間制限のせいで精神的な負担が大きいバトエル達に対し、数では劣っていても防衛に徹して時間をかせげばいいユリアヌスの駆け引きは読んでいて面白かったなあ。戦いの結果も意外な形で終了しましたし、結構珍しい展開になったのではないでしょうか。
 しかし、物語は丁寧に作れているのに、登場キャラの印象が全体的に薄いというのが非常にもったいないと思います。今巻では軍人貴族の令嬢であるロゼリエッタが登場し、前半ではバドエルやアルフォーニと色んな絡みを見せてくましたが、後半ではすっかり影が薄くなってしまいました。まあ、登場キャラも多いので、活躍が書けなくなってしまうキャラが出てしまうのは仕方がないことなのかもしれませんが、物語の流れを変えてくれるような濃いキャラがいないというのは、やはりもったいないなあ。うーん、物語の展開は面白いのに残念です。
 今巻では、軍を率いるバドエルたちが活躍したので、影の薄かったルシリアやチェザーリですが、次の巻では政治面で大いに活躍してくれるのでしょうか。星同士の間で色々と複雑な関係ができ始めているので、政治的な駆け引きもぜひ見てみたいものです。
 次の巻も期待していたいと思います。