BLACK BLOOD BROTHERS(10)

長かったシリーズも佳境に入り、次が最終巻のBBBシリーズ。
今回はカーサを中心に、香港での聖戦前夜の様子が描かれていましたが、カーサが何故ジローたちの元を去ったのか、ようやく判明しました。
いやあ、あとがきにもありましたが、主要キャラで最も吸血鬼らしい生き方をしたのはきっとカーサなのでしょう。
混血児ということで吸血鬼間では迫害され、不死であるために死ぬこともできない。
唯一心の許せる友人だと思っていたアリスの隣にジローが出現し、血族のつながりに孤独感を強めてしまう。
そんなカーサが、最後に頼ったのは血の導きなのですから、何ともやりきれないなあ。

カーサの選択によって、九龍一族の始祖が誕生し、聖戦が起こってアリスが倒れましたが、次の特区での戦いでは一体何が起こるのでしょうか。
ジローやケインが修行を終えて特区に向かっていますが、九龍一族は全員生き残っていますし、最終巻も熱い展開が待っていそうです。もちろん、今作のヒロインであるミミコの動向からも目が離せません。


一巻の見出しにあった「嘘つき」という一言は何を意味するのか。


来月が本当に楽しみです。

2008年下半期ライトノベルサイト杯に参加します。

去年は、研究、学会発表、インターンラノベを読む時間がなくて残念だったなあ。
特に新規部門作品は全然読んでない……日記も全然書いてない。


新規部門


境界線上のホライゾンシリーズ

【08下期ラノベ投票/新規/9784048672702】
前作の終わりのクロニクルよりも、濃い面子でスタートとしたシリーズ。
正直、人数が多すぎて誰が誰だか分からないです。
でも、面白い!


既存部門


文学少女シリーズ

【08下期ラノベ投票/既存/9784757743717】
シリーズを通して読んだ人だけが味わえる、心葉の決意の場面は最高の一言。
名作です。


ウェスタディアの双星シリーズ

【08下期ラノベ投票/既存/9784048672207】
ゆるい感じのSF戦記。
凝った設定があるわけではないし、キャラの人物像の掘り下げもあまりないですが、気軽に読めるシリーズです。<本の姫>は謳うシリーズ
“本の姫”は謳う〈4〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈4〉 (C・NOVELSファンタジア)

【08下期ラノベ投票/既存/9784125010489】
過去と現在が交互に入れ替わりながら物語が展開されていくファンタジー小説です。
場面転換が非常に多いので、苦手な人もいると思いますが、ぜひ読んで欲しいシリーズです。


鉄球姫エミリーシリーズ

戦場のエミリー―鉄球姫エミリー第四幕 (集英社スーパーダッシュ文庫)

戦場のエミリー―鉄球姫エミリー第四幕 (集英社スーパーダッシュ文庫)

【08下期ラノベ投票/既存/9784086304399】
この姫、鉄球を振り回しながら、下ネタを連発するんだぜ……
姫という単語に自分がどれだけ幻想を抱いていたのか、思い知らされたシリーズです。
登場キャラの多くがふざけた性格をしていますが、物語の内容は結構シビアです。

境界線上のホライゾン(1)上

 濃っ! の一言。
 川上稔さんの新シリーズということで、購入してみたわけですが、相変わらず濃い設定だなあ。というか、シリーズ一巻とは思えない厚さで、しかも上巻、下巻に分かれているというのは一体どうなってるんでしょうか。
 登場人物たちも非常に多く、正直誰がどんなキャラだったか把握しきれませんし、一巻から主人公たちそっちのけで、脇役たちがガチバトルを繰り広げていたりと、とにかく濃すぎる物語でした。
 まあ、下巻を読まないで面白いかどうか判断することは難しいので、今回は何も書きませんが、このシリーズはAHEADシリーズよりも濃くなりそうな気配がプンプンします。
 下巻が出る来月を楽しみに待っていたいと思います。

ウェスタディアの双星(3)

 キャラの描写が弱いような気がしますが、話のテンポが良く手軽に読むことができるので、お気に入りのシリーズになっている宇宙戦記シリーズの第三巻。
 この巻では、万騎将の地位まで上り詰めたバドエルが下級貴族のレデーナに一兵卒と勘違いされ、身分を偽って海賊退治をするのですが、他の国と戦争ばかりしていたバドエルたちにとっては、初めて国内の情勢に目を向ける機会となった巻だと思います。
 しかし、海賊相手ということで、艦隊戦はいつもより見栄えするものではなかったですし、物語の展開も一巻の方が丁寧に構成されていたように思えます。どなたの記事だったか覚えていませんが、電撃文庫の連載を見切る巻数が大体3巻ぐらいという記事を読んだことがあるので、このシリーズは三巻目でこんな話をしていて大丈夫なのかなあと思ってしまいます。本格的なスペースオペラを読みたい人には、あまりお勧めできませんが、不思議と登場人物たちの活躍を読んでみたいという気持ちになるシリーズなので、個人的には続いて欲しいんですけどね。
 チェザーリがルシリアに今後の政策を問われた時に言っていましたが、今後は二大強国に対抗するため、三国志のような展開になっていくみたいです。今は結束力が弱く、まとまりのない緩衝地帯の国々をチェザーリとルシリアが、どうまとめていくのか楽しみにしたいです。

文学少女と神に臨む作家(下)

 『本の表紙を開けば、そこで誰かの想像に出会うことができるわ』とは、作中の遠子先輩の言葉ですが、シリーズ最終巻を読み終えた今、本当にこのシリーズに出会えて良かったなあという気持ちで一杯です。作中の登場人物を題材で扱っている本の登場人物とかぶらせる演出も、毎回誰がどの役に当たるのか考えながら楽しめましたし、遠子先輩の本好きには毎回笑わされました。

 思えば、太宰治人間失格からスタートしたシリーズでしたが、それぞれの巻で遠子先輩がやってきた役を心葉が受け継いだ場面は、本当に良かったなあ。特に心葉の最後の決意は、このシリーズの全てを集約した上で、明日に向かっていこうとする場面は、最高です。

 誰がジュリエットで、誰がアリサなのか。
 狭き門とは、本当に絶望的な解釈しか生み出さないのか。
 心葉にレモンパイを焼いてあげていたのは誰なのか。

 ラストまで予想が裏切られっぱなしでしたが、最後のページを読むと、登場人物たちの今後に幸いあれと願わずにいられません。

 好きなシリーズが終了してしまうのは残念なことですが、野村美月先生の今後のご活躍を楽しみにしていたいと思います。

ミスマルカ興国物語?

ミスマルカ興国物語 II (角川スニーカー文庫)

ミスマルカ興国物語 II (角川スニーカー文庫)

 戦争の描写が全くない戦記シリーズの第二巻。
 第一巻同様、マヒロの存在感が強すぎるせいで周囲のキャラの影が大分薄くなってしまっているように感じましたが、単身で帝国軍に乗り込むマヒロ、そのマヒロを追うパリエルと勇者たちなど、争うことを極端に嫌うマヒロがどのように帝国との戦争を止めようとするのか、読者が興味をもつような展開になっていて非常に面白い。
 また、「長谷部」姓の女性キャラが登場したことで、お・り・が・みとの共通点も増えましたし、ナポレオンや東條といった現実に存在する人物の名前が出てきたので、この物語の世界観がより気になりました。
 今回は、帝国軍の思惑も見えてきたことで、魔王と戦うために共闘する可能性も出てきましたし、物語も徐々に動き始めた気がします。
 次も期待と。

死図眼のイタカ

死図眼のイタカ (一迅社文庫)

死図眼のイタカ (一迅社文庫)

 この作家さんの作品を読むのは火目の巫女以来なんですが、物語の雰囲気としては、火目の巫女とあまり変わらなかった気がします。四人の娘の中から儀式によって一人だけ選ばれる嫁、近隣での連続殺人事件等、娘の数は異なったりしましたが、似た設定は多かったように思えます。
 ただ、火目の巫女と大きく異なる点は、主人公のイタカは物語の裏で暗躍するキャラで、常に物語の表舞台に立っていたのは、一般人のマヒルという別のキャラだったというところでしょうか。
 イタカは事件の原因を知っているが、マヒルは知らないし、殺人事件が自分と関わりのあることとは思ってもいない。そう言った点では、マヒルの日常が非日常に塗り替わっていくときの心理描写は、読者とシンクロする形になっていて面白かったなあ。
 ただ、結構血生臭い描写があって暗い雰囲気の作品だったので、読んでいてキツイところもありました。うーん、基本的に暗い話は苦手なので、続きが出たとしても少し様子見したいと思います。