死図眼のイタカ

死図眼のイタカ (一迅社文庫)

死図眼のイタカ (一迅社文庫)

 この作家さんの作品を読むのは火目の巫女以来なんですが、物語の雰囲気としては、火目の巫女とあまり変わらなかった気がします。四人の娘の中から儀式によって一人だけ選ばれる嫁、近隣での連続殺人事件等、娘の数は異なったりしましたが、似た設定は多かったように思えます。
 ただ、火目の巫女と大きく異なる点は、主人公のイタカは物語の裏で暗躍するキャラで、常に物語の表舞台に立っていたのは、一般人のマヒルという別のキャラだったというところでしょうか。
 イタカは事件の原因を知っているが、マヒルは知らないし、殺人事件が自分と関わりのあることとは思ってもいない。そう言った点では、マヒルの日常が非日常に塗り替わっていくときの心理描写は、読者とシンクロする形になっていて面白かったなあ。
 ただ、結構血生臭い描写があって暗い雰囲気の作品だったので、読んでいてキツイところもありました。うーん、基本的に暗い話は苦手なので、続きが出たとしても少し様子見したいと思います。