ミスマルカ興国物語

ミスマルカ興国物語〈1〉 (角川スニーカー文庫)

ミスマルカ興国物語〈1〉 (角川スニーカー文庫)

 同じ文庫で二作を同時連載するのは、結構珍しいケースなんじゃないでしょうか。林トモアキさんの新シリーズ、ミスマルカ興国物語
 戦記小説なのに戦闘シーンがないとは、これいかに。
 物語の展開は、国民からボンクラと呼ばれている王子が、大国の急襲から自分の国をハッタリだけで守るというもの。
 口からの出まかせだけで、帝国の姫を退ける展開は読んでいて面白かったし、お・り・が・みやマスラヲとの関連がありそうな部分があって、笑える部分もあったし、シリーズの滑り出しとしては上々だと思います。
 ただ、主人公のマヒロは目立っていましたが、他のキャラが微妙。近衛騎士のパリエルやメイド長のエーデルワイスなど、それなりに目立つはずのポジションにいたのですが、影が薄かったように感じます。まあ、それだけマヒロのキャラが立っていたということなのでしょうが、シリーズとしてやっていく上では、マヒロの魅力だけで引っ張っていくのは難しいのではないでしょうか。
 異色な戦記小説として楽しめそうな気もしますが、二巻以降の展開を読んでみないと何とも言えない感じがします。