輪環の魔導師――闇語りのアルカイン

輪環の魔導師―闇語りのアルカイン (電撃文庫)

輪環の魔導師―闇語りのアルカイン (電撃文庫)

 空鐘でおなじみの渡瀬草一郎さんの新シリーズ。魔法を使える人間は誰一人として存在しないが、魔導具を使うことで魔法に近い力を使うことができる――空鐘ではSFっぽい部分も感じられましたが、このシリーズは純ファンタジーに近い気がします。
 シリーズ第一巻らしく、この巻は登場人物たちの紹介から、物語の世界観、そして主人公の旅の目的などがかかれいてるだけの地味な幕開けだったので、面白い! と絶賛できるほどではないのですが、今後に期待できる要素がたくさんあったので、面白くなっていきそうではあります。
 しかし、第一巻から主人公のセロよりもヒロインや他の脇役の印象が強いというのは、どうなんでしょうか。特にこの巻で目だった印象を受けたのは、ヒロインのフィノですね。日常生活では、自分とセロの身分のことをしっかり考えて要領よく暮らしているのに、セロの身が危なくなったときに「私のセロ」と言い出し始めますからね。その愛情にはどこか病的な部分が感じられます。ただ、フェリオと違って、セロもフィノのことをきちんと意識しているようなので、恋愛面でも空鐘と違った展開が見れそうで楽しみです。あと、サブタイトルのアルカインとは、セロやフィノに協力してくれる猫のことです。喋るカボチャの次は、喋る猫です。今のところ、セロたちの中で一番世界の情勢を掴んでいるキャラなので、今後も重要なキャラになっていきそうです。
 次巻も期待と。