半分の月がのぼる空(7)

 シリーズ初の短編集となる今巻ですが、4作中3作が電撃hpで掲載されたものです。なので、発売が決まった当初は全く買うつもりがなかったのですが、書き下ろし中編がつくということで購入してみました。
 でも目次には、雨(前編)、気持ちの置き場所、君は猫缶を食えるかい?、金色の思い出の4つしかなくて、(後編)という文字が全く見当たりません。
 ……ええと、これは、ずいぶんいい商売法ですね♪ まあ、続きが気になるので8巻も買いますけど……電撃文庫の手の平の上で踊らされてる自分が悲しいです。

 さて内容の方ですが、「気持ちの置き場所」は亜希子さんの過去話、「君は猫缶は食えるかい?」は裕一と司、山西の話で、書き下ろしの中編を抜かせば裕一と里香の絡みが唯一あるのは、「金色の思い出」しかないので、二人の絡みを期待している人には少し不満の残る巻かもしれないです。
 でも、どれもしみじみとする話ですし、「金色の思い出」は裕一と里香が出会った当初の日常が書かれているので、一巻の補正として楽しめるかもしれません。
 書き下ろしの方は、後編が書かれていないので、まだなんとも言えませんが、もっと裕一と里香をからませて欲しかったです。
 小説の最後には6ページもの漫画が書かれているので、多田さんファンの人は面白く読めると思います。