侵略する少女と嘘の庭

侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)

侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)

 凄い! 凄い! 素晴らしい! これは名作だ、と心から叫べる作品に久しぶりに出会えました。
 幼い頃から共に時間を過ごしてきた女友達と少し距離をおきたい気持ちとか、ちょっとした事で相手が自分に好意を持ってるんじゃないかと思ってしまう気持ちとか、他にも思春期に誰もが経験する心理描写が事細かに書かれていて素晴らしかった。
 下らない嘘をついた事から始まった牧生とりあの関係。周囲から悪魔と恐れられるりあが、どうして自分に接近してくるのかと最初は戸惑っていた牧生が、どうして自分はりあを助けたいと思うのかに変わっていく場面。終盤に見せられる大人の都合と、子供の現実。この二人、一体どうなっちゃうの? と時間が過ぎるのも忘れてページを捲っていました。
 物語の冒頭からラストまで続く独特の雰囲気もたまらないですし、久しぶりに良い小説に会えました。
 まだ、第2弾の君の嘘、伝説の君を読んでないので分かりませんが、嘘で始まって、嘘で終わるのがこのシリーズの特徴のでしょうか?
 嘘つきは泥棒の始まりという言葉がありますが、こんな素敵な嘘なら誰もが許せると思います。