図書館戦争

図書館戦争

図書館戦争

 後書きで有川氏が月9連ドラ風と語っているように、今作はSF部分を削った代わりに、空の中、海の底に比べ、恋愛部分を強く全面に押し出している感じがします。
 そういった意味でSFを期待している人には、あまりお勧めできませんが、構成は相変わらずしっかりとしているので、読んで損をするという事はまずないと思います。
 実際、最近では少年犯罪が増え、暴力シーンのあるTVゲームには、テロップが入ったり、年齢規制が行われるになっているわけですから、今作のようなことが将来的に起こりうるかもしれません。

 “もしかしたら、こんな事もあるかもしれない”
 “こんな時代になったら嫌だ”

 読者にそう思わせる事は、重要な事だと思います。ファンタジーに魔法が登場したりするのも、こんな世界があったら面白いだろうなあと思わせるための要素でしょうし。
 もちろん、ファンタジーと今作は話のベクトルが全く違うものですけれど、読者を惹き付ける要素は十分揃えていると思います。

 恋愛面に関してはパターン化してきた気もしますが、登場人物を増やしても一人一人の個性をハッキリと描いているので、読んでいて飽きることはないです。
 主人公の郁を中心に、ルームメイトの柴崎、正論好きの手塚、生真面目な登上、笑い上戸の小牧、豪快な玄田、他にも色んな人が登場しますが、本当に面白かったです。

 次作はどんなものが出版されるか全く予想がつきませんが、出るなら迷わず買います。

 できれば、怪獣が登場して欲しいなあ。