火目の巫女 (電撃文庫)

火目の巫女 (電撃文庫)

 幼い頃、村を襲った化生に母を殺された伊月は、化生を唯一退治することのできる存在“火目”になる事を決意し、火目候補として訓練に励んでいた。
 ――次の火目は私だ
 同じ火目候補である盲目の佳乃が、三年もの間、一度も弓を引かないことから、伊月はいつしかそう考えるようになっていた。
 だが、そんな伊月の前に新しい火目候補、常和が現れ、物語は一気に加速する。
 ――私が本当に欲していたことは何だったのだろう?
 己の力の無さを痛感しながらも、伊月は前に進むことを諦めない!


 第12回電撃小説大賞《銀賞》受賞作、火目の巫女


 努力家で真面目なのだけど、些細な事で落ち込んでしまう主人公を、仲間や友人達が励ますことで、主人公が再び立ち上がるという王道をいく作品。
 登場人物達の心理もしっかりと書かれていますし、今後が期待できる作品だと思うのですが、改行を多用しているのが目についてしまいました。
 いや、一瞬の内に多くの事を思考しているのを表現しているのでしょうが、終盤で伊月の感情が単発で何行も並ぶのは、正直しつこいと思いましたし、せっかくの熱い展開が台無しという気もしました。
 “火目”や“鳴箭”といった独特の設定があって、物語の舞台もしっかりと描かれてるので、もったいないなあという感じがします。

 続巻が出るかどうかは知りませんが、今後はとりあえず様子見。