戦う司書と雷の愚者 BOOK2 (集英社スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と雷の愚者 BOOK2 (集英社スーパーダッシュ文庫)

 武装司書達の本拠・バントーラ図書館が雷を操る「化け物」に襲撃される。その圧倒的な力に対策を練るミレポック達を尻目に館長代行のハミュッツ=メセタは姿をくらます。
 一方、見習い武装司書のノロティは、奪われたルイモンの『本』を探す任務についていたのだが、金を騙し取られたりと失敗続き。
 自分は武装司書に向いてないのではないか?
 ノロティが、そう考え始めた時、彼女の目の前に姿をくらましていたハミュッツが現れる。
 「ザトウくんを助けなさい。彼が心底困ったときに、彼を助けてあげなさい」
 突然のハミュッツの命令に戸惑いながらも従うノロティ、ザトウとは一体何者なのか? そして、ハミュッツの真意は……!?
 第4回スーパーダッシュ小説新人賞大賞受賞作戦う司書と恋する爆弾の続巻。


 と、今回は見習い武装司書のノロティが活躍する話。発売前は、ハミュッツを中心とした話が書かれるものだと思っていましたが、ハミュッツはあんまり出番がありませんでした。
 それでも、今回ハミュッツが残した印象は前回よりも凄かったです。
 前回はどちらかと言うと敵の策に苦しんでいたハミュッツでしたが、今回は事件の全様を把握していましたし、他の登場人物達の視点から見ることで、ハミュッツの恐ろしさが際立っていました。
 神様の代わりに図書館を管理しているだけあります。

 さて内容の方は、前巻同様、先の展開が全く読めません。

 登場人物達は、ほとんどが新しく出てきた人達なのに、先が気になって物語にぐいぐいと引き込まれてしまいます。

 怪物を目指すエンリケと、自分はノロティ達が探している怪物だと言い張るザトウの関係とか、ハミュッツが何故ノロティにザトウを守れと言ったのか、物語の序盤に掲示された謎がラストで一気に解かれる瞬間は、驚嘆の一言。

 このシリーズは、ファンタジーという一枠では囲えきれない気がします。
 暗い雰囲気の話を扱っているので、避けている人もいるかもしれませんが、読むだけの価値はあります。うまくは言えませんが、凄いインパクトを持った小説なのです。

 一話完結型なので、この巻から読み始めても大丈夫だと思いますが、世界観を理解したい人は一巻から読んだ方がいいと思います。

 

戦う司書と恋する爆弾 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と恋する爆弾 (スーパーダッシュ文庫)

 どんな展開が待っているのか予想もつかない期待のシリーズ!