かのこん (MF文庫J)

かのこん (MF文庫J)

 ふ、踏んでしまった……昔は、こういう強引な作品も好きだったのに、もう受け付けない年齢になってしまったのでしょうか?

 やっぱり発売当初に食指が動かなかった本は買うべきではなかったです。

 物語は、田舎から都会の高校に転校してきた小山田耕太が、転校初日に上級生の源ちずるに呼び出されて告白されるところから始まるラブコメ

 最初から最後まで、ちずるが耕太にキスをしたり、胸を押し付けたりと、ちょっとHなシーンが多く、正直、これらのシーンを抜かすと、二人を結びつける場面はほとんど皆無と言っていいほど。

 妖怪達を集めた学校ということを明確にしたかったんでしょうが、登場人物はもっと少なくて良かったような気がします。どの登場人物も地味で、特に半妖の澪なんて最後まで存在感がありません。

 でも、一番納得できなかったのは、耕太がちずるに惹かれる理由ですね。そりゃあ、美少女にキスとか胸を押し付けられたら混乱してしまうかもしれませんが、それがいきなり好きという感情につながってしまうのは、どうかと思います。

 妖狐のちずるが人間の耕太に一目惚れするのはともかく、耕太は今まで妖怪と全く無関係だったわけですから、もう少し戸惑ったりするものなのではないでしょうか?

 耕太に、ちずるとの関係をもっと悩むシーンがあって、それでも自分の気持ちは誤魔化せないという描写さえあれば、ラストはもっと盛り上がったのではないかなあと思ったりします。

 近々、2巻が発売されるようなので、しばらくは様子を見て買うかどうか決めたいと思います。