アストロノト!

アストロノト! (MF文庫J)

アストロノト! (MF文庫J)

 <第三回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞>受賞作。
 序盤がもったいねー!
 物語のジャンルはベタベタなラブコメにSFを盛りこんだ形の作品なんですが、獣耳や尻尾をもつドジっ子な亜人や、幼馴染のツンデレキャラなど、台詞から行動までもがコテコテのキャラが登場してきたので、思わず電車の中でニヤついてたら、前の席の女性に変な目で見られました……まあ、いつものことなんですが。
 物語の内容の方ですが、主人公たちは月に行くことを目標としています。ただ、主人公が月に行く理由が終盤まで隠されているのが非常にもったいない。事あるごとに「月に行かなくちゃいけないんだ!」と言われても、理解できない部分が多かったですし、登場キャラが出揃った瞬間に、主人公が「月に行かなくちゃ!」と突然言い始めたので、急展開すぎて置いてきぼりにされている感じがしたのがもったいなかったと思います。
 それでも、主人公が、過酷な減量をしたり幼馴染のヒロインを怒らせてまで、どうして月を目指すのか、興味が沸いてくるような展開だったのなら良かったのですが、キャラ萌え狙いの掛け合いだけでは、自分は終盤まで持ちませんでした。謎が明かされる場面を読めば、主人公が必死になっていた理由も納得できましたし、キャラ萌えだけではなかったのだなあと思えたのですが、序盤の萌え狙いや、急ピッチに進む展開についていけなかったのが残念です。また、主人公意外の主要キャラの描写が少なかったのも残念でした。最後では、それぞれのキャラのエピソードがうまくまとめられていましたが、もう少し何か書いてくれた方が面白かったと思います。
 ノリとスピーディーな展開についていけるか、いけないか、また主人公の行動動機が明かされたときに、どう感じるかで評価が分かれそうな作品です。