鉄球姫エミリー

鉄球姫エミリー (鉄球姫エミリーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

鉄球姫エミリー (鉄球姫エミリーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

 なんじゃ、こりゃあ!
 ページを開いたら美少女が鉄球を振り回しながら、卑猥な言葉を連発して、護衛の騎士や侍女を辱めていたので、ノリのよいギャグコメディなのかなあと思っていたら、全然違ったよ! いや、確かに本の紹介で骨太の人間ドラマと書かれていましたが、前半のノリからは後半の展開は全然想像できないですよ。ギャップがあり過ぎです。
 特に血のあるシーンが生々しいと言いますか、描写がやけに詳細で、戦闘シーンでぞっとしたのは久しぶりです。まあ、主人子の武器が鉄球なんで、攻撃方法は殴る、潰すの二つしかないんですけどね。血が流れる描写は苦手なので、ちょっと日和ました。
 話の内容は、傲慢な王女の成長物語で、暗殺者との戦いを通して、エミリーが自分の欠点を理解していく展開になっています。ラストに救いがあるのですが、次々と登場キャラが死ぬので、わりとシビアな物語です。
 うーん、テンポ良く進む会話は読んでいて面白かったですし、大甲冑などの装備はカッコ良かったんですけど、前半と後半のギャップの差についていけなかったような気がします。前半は完全にギャグで、後半はシリアス一色ですからね。いや、面白かったんですけど……密度の濃い物語だったといいますか、こういう系統の話をあんまり見たことがないので、なんと表現したらいいか分からないです。