マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・ヴェロシティ〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

 マルドゥック・スクランブルの過去、ボイルドとウフコックが共闘していたころを描いた話。
 ウフコックがやけに弱々しかったりするのは、ご愛嬌なのだろうか。他人に拒絶されることを恐れ、自分が必要とされることに喜びを見出しているウフコックを見ていると、マルドゥック・スクランブルで、バロットに「自分を使え」と要求していたネズミとは、とても思えない。
 そして、マルドゥック・スクランブルを読んでいるだけに、仲間たちと話し、笑い、仕事をしながら、新しい人生を歩もうとしているボイルドの姿を読んでいると、微笑ましく感じると同時に、とても悲しい気持ちになる。
 ボイルドの仲間たちが、何故マルドゥック・スクランブルに出てこなかったのか。
 物語を読んでいる最中も、この疑問がどうしても頭から離れない。
 作者が作者だけに、マルドゥック・スクランブルを描く上で、必要のないキャラだったからという考えはないだろうし、今作でも前作ばりの残虐シーンがあったり、ボイルドとウフコックが苦戦するほどの強敵が出現するだけに不安がつきない。
 「//」などが連発されていて、最初は読みにくいと感じたりもしましたが、読んでいるうちに慣れました。というか、物語に惹きこまれるうちに、こういう符号の使い方も逆に味があるように感じてしまうから不思議だ。
 三巻は22日に発売されるようなので、物語の結末もすぐに分かるのでしょうが、いかんせん本を読む時間がない。課題発表が終われば、楽になれると思っていた自分は浅はかだった。
 教授、お願いですから、そろそろ僕を休ませてください。