花守

花守 (GA文庫)

　ＧＡ文庫からデビューした新人さんの第一巻。内容は、鬼を体に憑依させて怪異を滅ぼす「花主」となった幼馴染の少女を、主人公が「花主」を守る役目である「花守」となって支えていくというもので、あらずしには、町のために続く少年と少女の戦いの日々と書かれていますが、主人公達が怪異と戦うシーンはほとんどなく、どちらかと言うと、主人公とヒロインの絆を描いた青春ラブストーリー。
　「花主」になった瞬間から決定づけられたヒロインの寿命、ヒロインの苦しみを見守り続けることしかできない主人公、という構図は、悲しくて読んでいて辛かったですが、悲劇の要素が強いほど、物語の最後にくるであろう大どんでん返しが期待できる作風となっていました。
　祇園や主税といった友人達も実に魅力的なキャラで、物語のシリアスな雰囲気を忘れさせてくれると同時に、主人公達が抱えている闇を際立たせるなど、演出面の方も良かったと思います。
　ただ、それだけに、最後のご都合主義的な終わり方が残念でした。うーん、ハッピーエンドは好きなんですが、それが主人公の頑張りによるものでないというのが、納得いきません。
　でも、全体的に物語の完成度は高かったと思いますし、文章のテンポも非常に良く、ゴルゴやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのように共感をよぶギャグもあって、読んでいて面白かったです。
　次の作品も期待して待っていたいと思います。