月の娘

月の娘 1 (HJ文庫)

月の娘 1 (HJ文庫)

 これがネット上で話題になっていたまさき氏の作品の魅力なのか――!
 最初に月の娘を読み終わった時、頭に浮かんだのは上記の感想でした。
 この本は面白いぞ! とインパクトのある作品だったわけじゃない。淡々と進む展開、物語の雰囲気も地味、『魔女』の設定に既存の作品とは違ったものが加えられていたわけでもない。
 でも、面白いんだよなあ。
 SF、ホラー、欝、恋愛、萌え等、色んな要素がごっちゃ混ぜになっている作品ではないし、一つの要素に突出しているわけでもない、いたってシンプルな出来。そのシンプルさが、かえって自分には良かったのかもしれません。
 既存の設定、既存のキャラ、既存の展開、そういったものでも、しっかりとした物語を書ければ十分魅力的な作品となることを証明しているお手本のような作品だったと思います。
 うん、この本は良作ではないか。