狼と香辛料 (電撃文庫)

狼と香辛料 (電撃文庫)

 ――狼が走る
 その昔、パレスエ村では、狼である賢神ホロに親しみと恐れを込めて、麦穂が風に揺られる様をこう例えていた。だが時が経つにつれ、村の人々の中でホロの存在は徐々に薄れていき、今では昔のようにこの例えを使う者はいなくなったが、伝統だけは残っており、収穫祭は毎年行われていた。
 行商人のロレンスが村を訪れた時もちょうど収穫祭が行われる時期だった。
 収穫祭の進行で村人達は忙しく、知人に会えなかったロレンスは、すぐに村を出立する。
 その夜、ロレンスは自分はホロだと名乗る少女に出会うが……
 ――彼女は本当にホロなのか?
 半信半疑ながらも、ロレンスはホロと共に旅立っていく。


 第12回電撃小説大賞《銀賞》受賞作、狼と香辛料


 お留守バンシーでも登場人物達が凄く魅力的に描かれていましたが、狼と香辛料では、主要人物がロレンスとホロだけという事もあって、キャラの魅力がより強かったように思えます。
 特にホロはいいキャラでした。何百年も生きているだけあって、普段は物事に対して達観していますが、時より見せる人間味が非常に良かったです。
 魔法やカッコイイ戦闘シーンはないけど、ロレンスとホロのやられやり返すの掛け合いは凄く面白かったですし、今後が非常に期待できる作品でした。
 うーん、これが銀賞なのは、物語よりもキャラクターの方が目立ってしまっているせいなのでしょうか?
 審査員の判断基準は良く分かりませんが、自分が読んだ新人作の中では、一番面白かったと思います。

 続巻も出しやすそうな終わり方をしているので、次回作も購入したいと思います。