薔薇色にチェリースカ(2)

 これはまた強烈なキャラが登場したなあ。一巻の最後で、優生会のメンバーを一人で圧倒したチェリースカですら、全く歯が立たない強さに加えて、何よりもその狂いっぷりが凄かったと思います。チェリースカのことを「愛しの美姫」と呼びながら、地面に思いっきり叩きつけたり、有刺鉄線で縛り付けたりしますからね。ヒロのことも平気で殺そうとしてますし、典型的な暴君です。
 しかし、敵の強さが圧倒的であればあるほど、主人公たちがその強敵にどう立ち向かっていくのかが、小説の醍醐味というものです。この巻では、その強敵との戦いを通して、ヒロとチェリースカが、互いの過去と秘密を打ち明けて信頼関係を深めていく様子がしっかりと描かれていて、面白かったです。まあ、チェリースカの拷問とか痛々しい描写はありましたが、明確な敵が登場したことで、ストーリーも俄然面白くなってきたと思います。ただ、ラストはヒロたちに都合が良過ぎる展開だったんじゃないかなあと思います。戦闘面では全く無力のヒロが、必死になって体を張る場面はカッコ良かったですし、チェリースカがヒロに対して心を開き始めたシーンがあったのは良かったと思うのですが、敵が強すぎるんですよね。こんなバランスブレイカーがシリーズ序盤から登場してしまって大丈夫なのかなあという不安も多少ありますが、今後の展開がどうなっていくのか、気になるところです。
 どうやら次巻は来年の一月あたりのようですが続きが楽しみです。