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- 作者: アサウラ,Bou
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/09/22
- メディア: 文庫
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第5回スーパーダッシュ文庫小説新人賞<大賞>受賞作。
熱い! 実に熱い作品でした!
ヤクザの組長の娘として生まれ、父親の言うとおりに暮らしてきた紅花が、ある事件を体験することで成長していく物語。
物語の最初だけ読むと、護衛役の奈美恵が主人公だと思ってしますほど、紅花は影が薄いです。視点が奈美恵のものだったということも関係していると思いますが、紅花はあまり人と話さないですし、襲われても平然としている様が人形っぽくて、本当にこれが主人公なのかと疑ってしまいました。
でも、そんな紅花も事件をキッカケに今まで自分がどれだけ周囲の人間に甘えてきていたのか、そして自分のせいでどれだけ多くの人を傷つけたかを思い知らされます。自分はどうすればいいのか悩む紅花に、父親の庵治は抗争に夢中で紅花に無関心だし、護衛の黒田は甘えるなと冷たく突き放します。
――逃げるか、戦うか、結局最後は自分でどうにかするしかない。
黒田に用意された逃げ道にいったんはすがろうとするものの、最後は戦うことを決意した紅花の姿がイイ!
もちろん銃を手にしたところで、今まで何の訓練も受けてこなかった少女が役に立つわけがなく、どうしても大人の手を借りることになってしまいますが、くじけそうになりながらも這い上がろうとする紅花の姿はカッコ良かったし、最後の戦闘シーンで、溜まりに溜まっていたフラストレーションを爆発させてくれました。
いやあ、熱い!
作者さんの書きたかったものがビシバシ伝わってくるライトノベルを読んだのは久しぶりな気がします。
惜しい点をあげるとすれば、銃の説明が少しくどかったような気がします。銃の基本的な構成や、紅花たちがどんな銃で戦っているかなどを説明してくれるのはありがたいのですが、物語中には数多くの銃が登場し、その度に説明を繰り返されるのが個人的に気になってしまいました。
過去に大賞をとった電波的な彼女や戦う司書に比べると、毒が足りないような気がしますが、物語の最後は綺麗にまとまっていて、紅花の変化に戸惑う奈美恵の姿が見れて面白かったです。続きを出すのが難しそうな終わり方をしていますが、例年通りならば二巻が読めるようになるはずなので、続きを楽しみに待っていたいと思います。